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花は毒にも薬にも…
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こんばんは、花崎です。

初物続きで、雑伊です。





◆注意事項◆

雑伊

ほの暗い

そういう表現がある(まぁ、表現だけですが)

相思相愛が前提。

でも距離はある。

別ジャンルでUPしていたもののリメイク版



注意事項お読みの上、問題のない方のみRead moreへお進みくださいませ。





















未だ雨が止まぬ窓の外。

暗く明かりを落としたその部屋の中に時折、轟く音と共に光が飛び込む。

白いシーツが薄青く染まる。

「ざっとさ…ん。」

小さく呼ぶ声がすぐ近くから聞こえたけれど、それは同時に雷にかき消される。

だから、聞こえない振り。肩に埋められる額。

二度目の呼び声。

まだ整わない呼吸を繰り返す伊作の湿り気をもった色素の薄い髪をゆっくりを指で梳く。

それが、返事の代わり。



「大丈夫?」

「大丈夫、です。」



強がっちゃってと、雑渡が笑うと伊作が言葉の変わりにケロイドに固まった皮膚につめを立てる。

 

痛みはなく、淡い刺激であることは伊作とて承知の上だ。

ゆっくりと伊作の髪を撫ぜる手と合わせるように雑渡は小声で歌を口ずさんでいる。

 

耳を澄ませても伊作にはなんの歌だか理解できない。届く声が時折擦れる。



先から響く雷の音が妙に近く聞こえて、伊作はそのまま離れようとしていた身体をもう一度近づける。

 

恐いわけじゃないし、離れたくないわけでもない。

少し離した間に冷えた体温が媒介する布一枚無いままに温かさと混ざり溶ける。



「風邪ひいちゃうかな…このままだと。」

「大丈夫ですよ?」

「そう?」



座っている位置は変わらないのに少し離れたり近づいたりしている伊作の首を引き寄せて髪の中に指を潜らせる。

軽く首を傾げては何かを考えているような伊作の瞳をのぞき込んで雑渡は軽く笑う。

何故笑われたのか分からないと如実に語る瞳を無視して軽く伊作の唇を軽く噛む。



普段ならば間髪入れずに飛んでくるはずの反応が無くその代わり挑発するように伊作は雑渡のまねをしてその唇を噛む。わざと強めに歯を立て、そうして上目に笑う。

「煽らないでください。」

「煽ってませんよ。」

「この体勢で言える言葉なの?其れは。」

明らかに今何ごとか終わりましたという体勢であることをわざわざ強調して雑渡は笑う。

(
まだ、ねぇ…?)

現状を改めて認識させられ不愉快そうに歪む伊作の表情が妙に何かを煽る。






同性に何かを刺激されるのはどうなんだろうと思いながらもまぁ彼だからと理由にならない言い訳をする。

(もっかいいけるかな…)

と軽く横目で時間を確認する。

久しぶりに会えば時間は早く過ぎて。朝には戻らなくてはまた口うるさい部下に怒られる。

(あれも存外心配性だから)



「雑渡さん、」

ねえ、と考えていたよりもずっと近くから呼ばれて漂わせていた意識を戻す。

「まだお時間ありますか?」

滅多に言われない言葉に自分が弱いことを確認させられた。

(
なんか悔しいよねぇ…。)

「離れたくない?」

「…そんなことないです。」

問い返された言葉に驚いた色を浮かべた後に伊作の口から零れる言葉。

(
まぁ、そうだろうね。)

請われて否を唱えたことはない。











「ねー、伊作くん。」

「なんですか?」

「私は君のなかにいる彼より上位にいるのかな?」

「なんのことですか…」



声が完全に消える前に唇を半ば無理矢理重ねる。

急なことに驚いた目が見えたけれどそれは一瞬。

止まずに降る雨と雷の音が隠したい音を隠して過ぎた夜。

彼が耳元で幾度も求めた言葉がひどく鮮明に響いた。







Fin

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